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  • 執筆者の写真田口房国

丸太の単価を上げる方法論




「林業でいかに利益を上げるか」

という話題の話を林業関係者(もちろん山共フォレストのメンバーが一番多いが)とよくする。

まず出てくるのは

❶効率化、コスト削減

次に

❷付加価値をつけて売る

ということだ。

実は私は「付加価値をつける」という言葉が最近好きではなくなっている。

まるで、文字通り「とって付けれる」ようなその言葉は、

使用者に、やろうと思えばできる、という幻想を植え付けてしまう気がする。

実際、付加価値をつけれてない人ほど、「付加価値をつける」という言葉を使っている気もする。


そのことについても言いたいことは色々あるが、今日言いたいのは利益を上げる❸の方法論だ。

それは「単価を上げる」ということ。

実はそれが林業業界の特異な構造で全く進んでいないと私は思っている。


一般の人の多くは知らないと思うが、

山で伐られた木材は組合や民間が営む丸太市場に持っていかれ、

入札やセリによって製材所などの加工屋に買われていく。

また競争させずにあらかじめ決めた単価で売られる「システム販売」というやり方もだいぶ定着してきたが、この単価にしても、市況や引き合いによって随時見直されている。


もう一つ前提として

木材の価格というものは、「絶対価格」ではなく競争によって決められる「相対価格」である。だから、どれだけ節のないまっすぐで色の良い丸太であっても、買う人が一人しかいなければ最低価格で買われていく。


このようなシステムや前提を踏まえて、単価を上げるには「いかに競争してもらうか」が第一に必要なことはすぐに分かる。

しかし現状、丸太市場に出入りする業者はほとんど地元の業者や古くからの業者など限られている。

私の地元である東白川村森林組合の丸太市場も、また近隣の丸太市場でも、新しい業者というのを10年以上見ていない。

しかも、その数は廃業などによって減っていく一方である。

私がよく買う杉丸太で競合するのは2〜3社。

タイミングによっては私一人しかいない時などは、全部私の入れた単価で買えてしまう。

こちらも商売なので、その場合、単価はほとんど最低価格。

私は林業もやっているし、林業の知り合いもたくさんいるが、

鬼になって、最低価格で買うことになる。


林業界で働く人に気を付けてもらいたいのは、

木材の低迷を林業も製材業も一緒になって考えはするが、

実際のところ、丸太価格が上がることを製材業社は望んでいない、ということだ。


さて、

このような状況ではいつまで経っても丸太の単価は上がらない。

では、何を変えるべきかというと、「買い手を増やし、競争させる」ということがまずやらなければいけないことだ。

買い手を増やすこと!

買い手を増やすこと!

買い手を増やすこと!

しつこいが、それなくして、絶対に単価は上がらない!


しかし近場に新しい業者はいない、というなげき節が聞こえてきそうだ。

色んなやり方があるかもしれないが、こんな時こそテクノロジーの出番だ。

田舎の木材市場の一番のデメリットは、「距離」である。

だがコロナ禍で一気に進んだ、ウェブ会議、テレワークなどの技術の延長で遠方の業者にも木材を売ることができれば、その木材市場の販売平均単価は2〜5割くらいすぐに上がると私は思う。

「実際に見ていないものを買ってくれるだろうか」という疑問に関しては、

いかに品質を安定させ、実際に見ていなくてもお望みの丸太を届けることができるか、というところが市場の努力のしどころになってくるが、

買い手さえ増えれば、グレードによって丸太の行き先も振り分けられる。


林業従事者も、行政も、売り方の改革にはほとんど乗り出していない。

そもそもやってきていないし、「不得意」であるのだと思う。

そして、避けている感さえある。


日本中の丸太単価を上げることをできない。

が、どこか特定の丸太市場の単価を上げることはできる。

できればどこかで取り組んでもらいたい、と勝手にと思うがどうだろうか?






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